引越しの荷造りで、最後まで手をつけられないのが冷蔵庫です。中身が入っているうちは動かせませんし、電源を切るタイミングを間違えると、当日の朝に床が水浸しになります。しかも冷蔵庫はコンプレッサーという精密な部品を積んでいるため、運び方を誤ると冷えなくなることもあります。この記事では、いつから食材を減らし始めればいいのか、水抜きと霜取りは具体的に何をするのか、運搬時に守るべき姿勢、そして新居に着いてから電源を入れるまでの待ち時間まで、時系列に沿って整理してお伝えします。

逆算スケジュール|いつ何をするか
冷蔵庫の準備は、当日の作業ではありません。食材を使い切るところから逆算すると、2週間前には動き始めるのが理想です。全体の流れを先に押さえておきましょう。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2週間前 | 買い物を控えめにし、冷凍室の在庫から消費し始める |
| 1週間前 | 調味料など残るものを整理。処分するものを決める |
| 2〜3日前 | 製氷機能をオフにする。氷と貯水タンクの水を捨てる |
| 前日の夕方〜夜 | 中身を空にして電源プラグを抜く。ドアを開けて霜取り開始 |
| 当日の朝 | 受け皿・製氷皿の水を捨て、庫内を拭き上げる。ドアを固定 |
| 搬入後 | 設置して数時間待ってから電源を入れる |
ポイントは前日の夜に電源を抜くことです。霜が完全に溶けるまでには時間がかかるため、当日の朝から始めても間に合いません。
2週間前から|中身を計画的に減らす
冷蔵庫は原則として、中身を空にして運びます。食材を入れたまま運ぶと、庫内で転がって汚れるうえ、重量が増えて作業員の負担にもなります。
まずは冷凍室から手をつけましょう。冷凍食品や作り置きは、いちばん使い切るのに時間がかかります。買い物の頻度を落とし、「今ある食材で何が作れるか」を軸に献立を組むと、思ったより早く減っていきます。
- 調味料:開封済みで残りわずかなものは処分。未開封のものはクーラーボックスで運ぶ
- 飲み物:ペットボトルや缶は常温でも運べるので、段ボールに移す
- 卵・乳製品:前日までに使い切る計画を立てる
- どうしても残るもの:保冷剤を入れたクーラーボックスに詰め、自分の車で運ぶ
クーラーボックスが手元にない場合は、引越し当日だけでなく、新居の冷蔵庫が冷えるまでの食材の仮置きにも使えるので、この機会に1つ用意しておくと役立ちます。
近距離の引越しであっても、引越し業者は基本的に生鮮食品を運びません。傷んだ場合の責任が取れないためです。残った食材は自分で運ぶ前提で考えてください。
2〜3日前|製氷機能を止める
自動製氷機能つきの冷蔵庫は、ここが見落としポイントです。製氷を止めても、貯水タンクや製氷皿、給水経路に水が残ります。そのまま運ぶと、傾けたときに水がこぼれます。
手順としては、まず製氷機能をオフにします。次に貯氷ケースの氷をすべて捨て、貯水タンクを取り出して水を空にし、洗って乾かします。製氷皿にも水が残っていることがあるので、取扱説明書に従って確認してください。給水経路の水を抜くための専用モードを備えた機種もあるため、説明書は捨てずに手元に置いておきましょう。

前日|霜取りと水抜きの手順
ここが冷蔵庫の準備の本番です。用語を先に整理しておくと、霜取りは庫内についた霜を溶かす作業、水抜きは溶けた水を捨てる作業です。セットで行います。
手順1|中身を出し切る
冷蔵室・冷凍室・野菜室すべてを空にします。取り外せる棚板やケースは抜いて、洗って乾かしておくと新居ですぐ使えます。ガラス棚は割れやすいので、緩衝材で包んで別に運ぶか、業者に相談してください。
手順2|床を養生してから電源を抜く
冷蔵庫の下と周囲に、古いバスタオルや新聞紙、ビニールシートを敷きます。溶けた水が床にこぼれるのを防ぐためです。フローリングは水を長時間放置すると傷むので、ここは省略しないでください。
準備ができたら電源プラグを抜き、ドアは開けたままにしておきます。閉めておくと霜が溶けにくく、においもこもります。小さなお子さんやペットがいる家庭では、中に入り込まないよう注意してください。
手順3|霜が溶けるまで待つ
霜が完全に溶けるまでの時間は、機種や季節、霜の量によって変わりますが、半日程度かかると考えておくと安心です。夏場より冬場のほうが時間がかかる傾向があります。だからこそ前日の夕方から夜のうちに電源を抜いておく必要があるわけです。
霜を早く溶かそうとして、ドライヤーの熱風を当てたり、包丁やアイスピックで削ったりするのは避けてください。庫内の樹脂が変形したり、冷却パイプを傷つけて故障につながったりすることがあります。急ぐ場合は、ぬるま湯を入れた容器を庫内に置く程度にとどめましょう。
手順4|蒸発皿と受け皿の水を捨てる
溶けた水は、冷蔵庫の背面下部や底部にある蒸発皿(受け皿)に溜まります。機種によって位置や外し方が違うため、取扱説明書で確認してください。受け皿が外せないタイプもあるので、その場合はタオルを差し込んで吸い取るか、業者に伝えておきます。
手順5|庫内を拭き上げる
最後に、乾いた布で庫内の水気を拭き取ります。水分が残ったまま運ぶとカビやにおいの原因になります。ドアパッキンの溝も忘れずに。この段階で、重曹を溶かした水などで庫内を軽く掃除しておくと、新居で気持ちよく使い始められます。
手順6|ドアを固定する
拭き終わったら、ドアが運搬中に開かないように養生テープで固定します。ガムテープは剥がしたあとに粘着が残るので使わないでください。冷蔵庫は業者が養生してくれることが多いですが、自分で運ぶ場合は必須の作業です。

運ぶときの注意点
横倒しにしない
冷蔵庫でいちばん大事なルールがこれです。冷蔵庫の内部にはコンプレッサーがあり、そこには潤滑用のオイルが入っています。横に倒すとオイルが冷却経路に流れ込み、冷えなくなる原因になることがあります。やむを得ず傾ける場合も、角度は最小限にとどめ、できるだけ短時間で済ませます。
搬入経路の寸法を測っておく
冷蔵庫は大型家電のなかでも通しにくい部類です。本体の幅・奥行き・高さに加えて、玄関ドア、廊下、階段、エレベーターの内寸を測っておきましょう。目安として、本体の幅より6〜10cm程度広い通路幅があると搬入しやすくなります。通らない場合は、ドアを外す、窓から吊り上げるといった対応が必要になり、追加費用が発生することがあります。
設置場所の条件も確認
新居に置く場所は、放熱のためのすき間が必要です。必要な間隔は機種によって異なるので、取扱説明書で確認してください。またコンセントの位置と、アース端子の有無も事前に見ておきましょう。
設置後|電源はすぐ入れない
新居に運び込んだら、まず設置場所に置いて水平を確認します。そしてすぐに電源を入れず、しばらく待ちます。運搬中に揺れたことでコンプレッサーのオイルが動いているため、落ち着くまでの時間が必要だからです。
待つ時間は機種によって案内が異なりますが、数時間程度を見ておけば安心です。取扱説明書に指定があればそれに従ってください。傾けた時間が長かった場合は、長めに待つほうが無難です。
電源を入れたあとも、庫内が十分に冷えるまでには時間がかかります。冷えるまでは食材を入れず、空の状態で運転させるのが基本です。買い出しは、冷蔵庫が冷え切ってからにしましょう。
- 設置したら水平器(スマホのアプリでも可)で傾きを確認する
- 電源を入れる前に、庫内が乾いているか再確認する
- アース線は必ず接続する
- 数時間おいてから通電し、さらに冷えてから食材を入れる
スマホのアプリでも傾きは確認できますが、家具や洗濯機の設置でも使える小型の水平器が1つあると、新居での据え付け作業がはかどります。
古い冷蔵庫を処分する場合
引越しを機に買い替える場合、古い冷蔵庫は家電リサイクル法の対象品目にあたるため、粗大ごみとして自治体に出すことはできません。処分の窓口は、買い替え先の販売店、購入した販売店、自治体が案内する引取業者、指定引取場所への持ち込みなどです。
費用はリサイクル料金と収集運搬料金の合計になります。リサイクル料金はメーカーと容量によって決まっており、収集運搬料金は依頼先ごとに設定されています。金額は改定されることがあるため、依頼前に最新の金額を確認してください。品目別・メーカー別の料金は、家電リサイクル券センターの料金一覧で公表されています。制度全体の考え方は、経済産業省の家電リサイクル法のページにまとまっています。
「無料回収」をうたって軽トラックで巡回している業者のなかには、必要な許可を持たずに営業しているところがあります。あとから高額な料金を請求されたり、不法投棄されたりするおそれがあるため、自治体が案内している方法か、家電量販店を通した処分を選ぶのが安全です。
よくある質問
Q. 電源を抜くのを忘れて当日の朝になってしまいました。
A. すぐに電源を抜き、ドアを開けて、可能な範囲で霜を溶かしてください。時間が足りない場合は、受け皿の水をタオルで吸い取り、庫内にタオルを敷いて水が垂れないようにしたうえで、引越し業者に「霜取りが不十分です」と正直に伝えましょう。事前に伝えておけば、養生を厚めにするなどの対応をしてもらえます。
Q. 小型の一人暮らし用でも同じ準備が必要ですか?
A. 必要です。サイズが小さくても、コンプレッサーがある点も、霜がつく点も変わりません。ただし庫内が小さいぶん霜取りにかかる時間は短めで済むことが多いです。
Q. 冷蔵庫を自分で運んでもいいですか?
A. 可能ではありますが、重量があり、横倒しにできない制約があるため、二人以上での作業が前提になります。階段がある場合は特に危険です。台車と固定ベルトを用意し、無理だと感じたら業者に任せる判断をしてください。
Q. 引越し当日、冷蔵庫だけ翌日配送にできますか?
A. 業者によっては大型家電のみ日程をずらせる場合があります。ただし追加費用がかかることが多く、対応の可否も業者次第です。見積もりの段階で相談してみてください。
Q. 霜取りをしないとどうなりますか?
A. 運搬中に溶けた水がこぼれ、トラックの荷台や他の荷物を濡らします。段ボールに入れた衣類や書類が被害を受けることもあります。また新居に着いてから庫内が湿ったままだと、カビやにおいの原因にもなります。
Q. 引越し後に冷蔵庫が冷えません。
A. まず通電から十分な時間が経っているか確認してください。冷え始めるまでには時間がかかります。半日以上経っても冷えない場合は、メーカーのサポート窓口に相談を。運搬時の取り扱いが原因と考えられる場合は、引越し業者にも連絡してください。荷物の損害については、標準引越運送約款で申告できる期間が定められているため、気づいたら早めに連絡するのが大切です。
まとめ
冷蔵庫の引越し準備は、段取りがすべてです。2週間前から中身を減らし始め、2〜3日前に製氷まわりの水を抜き、前日の夜に電源を抜いてドアを開けたまま霜取りをする。当日の朝に受け皿の水を捨てて庫内を拭き、ドアを養生テープで留める。この流れさえ押さえておけば、当日にあわてることはありません。
運搬では横倒しにしないこと、設置後はすぐに電源を入れず数時間おくこと。この2点が、冷蔵庫を壊さないための要になります。買い替える場合は家電リサイクル法の対象なので、粗大ごみには出せない点も覚えておいてください。
冷蔵庫は引越しのなかでも準備に時間がかかる家電です。荷造りのスケジュールを立てるときは、いちばん最初に冷蔵庫の予定を書き込んでおくくらいでちょうどいいでしょう。
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