荷造りが終わって、あとは当日を迎えるだけ。そう思っていても、いざ引越し当日になると「今なにをすればいいんだっけ」と頭が真っ白になるものです。作業員の方への指示、電気やガスの手続き、旧居の掃除、新居での立ち会い。同時に進むことが多すぎて、慣れていないとどこかで抜けが出やすくなります。
引越し当日は、やることを時系列で把握しておくだけで、驚くほどスムーズに進みます。逆に、段取りを知らないまま迎えると、荷物が届いたのに電気がつかない、ガスが使えずシャワーを浴びられない、旧居の鍵を返せずもう一度戻ることになる、といったトラブルが起こります。
この記事では、引越し当日の流れを「前日の準備」「旧居での作業」「移動」「新居での作業」「当日中に済ませたいこと」の5段階に分けて解説します。当日手元に残しておくべきものリストや、よくある失敗の回避策もまとめました。

前日までに済ませておくべきこと
当日をスムーズにするかどうかは、前日の準備でほぼ決まります。以下は前日までに終わらせておきたい項目です。
- 冷蔵庫の霜取り・水抜き:前日までに電源を抜いておく(霜が溶けきるまで半日以上かかることも)
- 洗濯機の水抜き:給水ホースと排水ホースの水を抜いておく
- 当日使うものを分けておく:段ボールに詰めず、別のバッグにまとめる
- 貴重品を手荷物にまとめる:現金・通帳・印鑑・パソコンなどは自分で運ぶ
- スマホとモバイルバッテリーの充電:当日は連絡が多く電池を消耗する
- 引越し業者の連絡先を控える:スマホの電池切れに備え、紙にも書いておく
当日は業者やガス会社との連絡でスマホの電池が減りやすいので、モバイルバッテリーは満充電にして手荷物に入れておくと安心です。
特に冷蔵庫と洗濯機の水抜きは、忘れると当日に作業がストップします。冷蔵庫は電源を切ってから霜が溶けきるまで時間がかかるため、遅くとも前日の夕方までには電源を抜いておくのが安全です。溶けた水が床にこぼれるので、タオルや受け皿の準備も忘れずに。
引越し当日:旧居でやること
作業開始前(業者到着の30分前まで)
業者が到着する前に、最後の荷造りと掃除を済ませておきましょう。特に洗面用具や寝具など、当日の朝まで使っていたものを詰めるタイミングです。ゴミもこの段階でまとめておきます。
また、養生(床や壁を保護する作業)のために玄関から搬出経路を空けておくと、業者の作業が早く進みます。マンションの場合は、エレベーターの使用予約や共用部の養生についても、管理人さんへの連絡が済んでいるか確認してください。
業者の養生とは別に、自分で運ぶ荷物の仮止めや「運ばない物」の目印には、はがしやすい養生テープが1本あると便利です。
業者到着後の打ち合わせ
作業員のリーダーと最初に打ち合わせをします。ここでの確認が、当日の満足度を大きく左右します。
- 運ぶもの・運ばないものを明確に伝える
- 割れ物や壊れやすいものの場所を伝える
- 新居での搬入予定時刻を確認する
- 見積もり内容と作業内容に相違がないか確認する
- 支払い方法とタイミングを確認する
搬出中の立ち回り
搬出中は、作業員の邪魔にならない場所で待機しつつ、質問にすぐ答えられるようにしておきます。荷物を運び出すたびに部屋が空いていくので、空いた場所から掃除を進めると効率的です。
掃除機を梱包してしまっても、使い捨てシートを付けるフローリングワイパーなら手早く床のほこりを取れます。
搬出完了後のチェック
すべての荷物が運び出されたら、忘れ物がないか各部屋を確認します。見落としやすいのは以下の場所です。
- 押入れ・クローゼットの上段と天袋
- 洗面台やキッチンのシンク下の収納
- ベランダ(物干し竿、サンダル、園芸用品)
- 玄関の靴箱の奥
- エアコンの取り付け金具や説明書
- 郵便受けの中
ライフラインの停止作業
荷物が出たら、旧居のライフラインを止めます。電気はブレーカーを落とし、水道は元栓を閉めるのが基本です。ガスは閉栓に立ち会いが必要なケースがあり、特にオートロックの建物や、屋内にメーターがある場合は立ち会いを求められることが多くなります。停止手続きの際に、立ち会いの要否を必ず確認しておきましょう。
旧居の明け渡し(退去立ち会い)
賃貸の場合は、管理会社や大家さんと退去立ち会いを行います。室内の状態を一緒に確認し、原状回復の負担範囲を話し合う場です。傷や汚れについて指摘があった場合、その場で内容を確認し、納得できない点があれば安易にサインしないことが大切です。立ち会いが済んだら鍵を返却します。
移動中にやっておくと楽なこと
旧居から新居への移動時間は、意外と貴重な準備時間です。荷物と一緒にトラックが向かっている間に、以下のことを済ませておけます。
- 新居のどこに何を置くか、間取り図に書き込んでおく
- 近隣への挨拶品を手の届くところに準備する
- 昼食を済ませておく(新居に着いてからは時間が取れない)
- ガス開栓の立ち会い時刻を再確認する

引越し当日:新居でやること
荷物が届く前に
可能であれば、荷物より先に新居に到着しておきたいところです。到着したら、まず以下を確認します。
- 電気のブレーカーを上げる:これをしないと照明もエアコンも使えない
- 水道の元栓を開ける:メーターボックス内にあることが多い
- 室内の状態を写真で記録する:入居前からある傷や汚れを撮っておくと、退去時のトラブル防止になる
- 家具の配置場所を床にテープなどで示しておく:搬入がスムーズになる
入居前の写真撮影は、地味ですが非常に重要です。壁のへこみ、フローリングの傷、水回りの汚れなどを日付がわかる形で残しておくと、退去時に「これは前からあった」と説明できます。
家具の配置場所を床に示すときは、壁から何cmかを測っておくと搬入の指示がぶれません。メジャーは段ボールに入れず手元に置いておきましょう。
ガスの開栓立ち会い
ガスの開栓には必ず立ち会いが必要です。事前に予約しておかないと、当日にお湯が使えません。引越しシーズンは予約が埋まりやすいため、遅くとも2週間前には申し込んでおきましょう。開栓作業では、ガス漏れの確認やガス機器の点検も行われます。
搬入時の立ち会い
荷物が到着したら、家具の配置を指示していきます。大型家具は一度置くと動かすのが大変なので、位置を決めるのはここが勝負どころです。搬入が終わる前に、次のことを確認しておきましょう。
- 荷物の個数が伝票と合っているか
- 家具や家電に運搬中の傷がついていないか
- 洗濯機や冷蔵庫の設置が完了しているか
- ダンボールの回収サービスがある場合、回収方法と期限
破損があった場合は、その場で作業員に伝えることが重要です。標準引越運送約款では、荷物の一部が壊れたり失われたりした場合、荷物を引き渡した日から3か月以内に通知しないと業者の責任が消滅すると定められています。あとから気づいた傷でも期限内なら相談できますが、当日その場で指摘しておくほうが話ははるかにスムーズです。
支払いと見送り
作業完了後、料金を支払います。現金払いが一般的ですが、事前にクレジットカードや電子決済に対応しているか確認しておくと安心です。差し入れを用意していた場合は、このタイミングで渡すとよいでしょう。
当日中に済ませておきたいこと
荷解きは何日かかっても構いませんが、当日中にやっておくと翌日から楽になることがあります。
- 寝る場所を確保する:ベッドや布団のセットを最優先
- カーテンを取り付ける:外から丸見えの状態を避ける
- トイレ・お風呂まわりを使える状態にする:トイレットペーパー、タオル、洗面用具
- スマホの充電環境を作る:延長コードの場所を決める
- 近隣への挨拶:搬入で騒音を出した直後に済ませると印象が良い
- ゴミ出しルールの確認:ゴミ置き場と収集日を掲示板などで確認
逆に、当日中に全部片づけようとするのは現実的ではありません。無理をすると翌日以降に響きます。当日は「寝られる・食べられる・洗える」の3つが揃えば十分と考えましょう。各社の当日の流れについては引越し侍の当日ガイドやSUUMO引越しの解説記事でも詳しく紹介されています。
新居のコンセントの位置は住んでみるまでわからないことが多いので、スマホの充電用に延長コードを1本手荷物に入れておくと、その夜から困りません。
当日、段ボールに詰めてはいけないもの
「必要なものを段ボールの奥に詰めてしまった」は、引越し当日の代表的な失敗です。以下は手荷物として持ち歩きましょう。
| カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| 貴重品 | 現金、通帳、印鑑、有価証券、鍵 |
| 書類 | 賃貸契約書、引越しの見積書、身分証明書 |
| 当日使うもの | スマホ充電器、財布、常備薬、メモ用具 |
| 掃除・作業用品 | カッター、軍手、ガムテープ、ゴミ袋、雑巾 |
| 当日夜に使うもの | 寝具、着替え、タオル、洗面用具、トイレットペーパー |
特にカッターとゴミ袋は、新居に着いてすぐ必要になります。段ボールを開けるためのカッターが段ボールの中、というのは笑い話のようで実際によくある話です。

Q&Aコーナー:引越し当日のよくある質問
Q1. 引越し当日は、旧居と新居どちらにいればいいですか?
基本的には、旧居の搬出に立ち会ってから新居へ移動します。ひとりで両方を回るのが難しい場合は、家族や友人に片方をお願いするか、業者に事前相談しておきましょう。荷物より先に新居へ着けるよう、移動手段を確保しておくことが大切です。
Q2. 引越し作業にはどのくらい時間がかかりますか?
単身で荷物が少なければ搬出1〜2時間、搬入1〜2時間が目安です。家族の引越しになると、搬出・搬入それぞれ2〜4時間程度かかることもあります。移動距離や、エレベーターの有無、階数によっても変わります。
Q3. 作業員の方が来たとき、何か準備しておくことはありますか?
搬出経路を空けておくことと、トイレを貸せる状態にしておくことくらいで十分です。飲み物などの差し入れは義務ではありません。感謝の気持ちを伝えたい方が用意する程度と考えてください。
Q4. 引越し当日に雨が降ったらどうなりますか?
基本的には予定どおり作業が行われます。業者は雨天用の養生や梱包を用意しています。ただし荷物が濡れる可能性はゼロではないため、大切な書類や電子機器は自分でビニール袋に入れて運ぶと安心です。
Q5. ガスの立ち会いに間に合わなそうです。どうすればいいですか?
早めにガス会社に連絡し、時間の変更を相談しましょう。当日中に開栓できない場合は翌日以降になり、その日はお湯が使えません。銭湯の場所を調べておく、水で顔を洗う準備をするなど、代替案を考えておくと安心です。
Q6. 荷解きはどれくらいで終わりますか?
単身なら数日、家族なら1〜2週間が一般的です。焦らず、生活に必要なものから順に開けていけば問題ありません。ダンボール回収サービスの期限がある場合は、その日程だけ意識しておきましょう。
Q7. 当日にキャンセルや日程変更はできますか?
標準引越運送約款では、引越し当日の解約についてキャンセル料が定められています。やむを得ない事情がある場合は、できるだけ早く業者に連絡してください。天災など特別な事情の場合は、対応が異なることもあります。
まとめ:流れを知っていれば当日は怖くない
引越し当日は、前日の準備、旧居の搬出と明け渡し、移動、新居での搬入とライフライン開通、そして最低限の生活環境づくり、という流れで進みます。この順番を頭に入れておくだけで、あわてる場面はぐっと減ります。
特に気をつけたいのは、冷蔵庫と洗濯機の水抜き、ガスの開栓立ち会いの予約、そして当日使うものを段ボールに詰めないことの3点です。この3つを外さなければ、大きなトラブルはほぼ避けられます。
引越し当日は疲れて当然です。すべてを完璧にこなそうとせず、寝る場所と最低限の生活動線が確保できれば、その日は上出来です。新しい生活を、気持ちよくスタートさせてください。


