「ソファ1台だけ実家に送りたい」「ベッドフレームだけ新居に運びたい」。引越しそのものではなく、家具を1〜2点だけ移動させたい場面は意外と多いものです。そんなときに真っ先に思い浮かぶのが宅配便ですが、いざ調べてみると「サイズオーバーで受け付けられません」と言われてしまうケースが少なくありません。
大型家具を宅配便で送りたいなら、押さえるべきポイントは3つあります。通常の宅配便のサイズ上限、それを超えた荷物を扱う家財専用の配送サービス、そして引越し便に切り替えたほうが得になる分岐点です。この3つを知っているだけで、無駄な問い合わせや二度手間をほぼ避けられます。
この記事では、大型家具を宅配系のサービスで送るという手段に絞って、各社のサイズ規定、申し込み前に確認すべき受付条件、自分でやるべき荷造りの範囲、そして引越し便との使い分けまでを整理します。費用相場の一覧が知りたい方は、当サイトの家具のみ配送の記事もあわせてご覧ください。

大型家具は普通の宅配便で送れる?まずはサイズ上限を知る
宅配便には、荷物の大きさと重さの上限が決められています。ここを超えると、どれだけ丁寧に梱包しても受付そのものを断られます。まずは主要3社の規格を確認しましょう。
ヤマト運輸の宅急便
宅急便は、縦・横・高さの3辺合計が200cm以内、重さ30kg以内が上限です。以前は160サイズまででしたが、その後180サイズ・200サイズが追加され、扱える荷物の幅が広がりました。ただし1辺の長さは170cmまでという制限があり、さらに上下を逆さまにできない荷物などは1辺100cmまでとされています。長細い家具は3辺合計に余裕があっても弾かれることがあるので注意が必要です。
詳しい規格はヤマト運輸の公式FAQで公開されています。
日本郵便のゆうパック
ゆうパックは3辺合計170cm以内、重さ25kgまでです。25kgを超えて30kg以下の荷物は「重量ゆうパック」として扱われます。170cmを超える荷物は日本郵便では配達できませんので、家具の多くはこの時点で対象外になります。規格の詳細は日本郵便のゆうパック案内ページで確認できます。
佐川急便の飛脚宅配便
飛脚宅配便は160サイズまでが基本で、それを超える荷物には別区分が用意されています。3辺合計が160cmを超えて260cm以内、1個あたり50kgまでの家具・家電は、後述する専用の設置サービスの対象となります。
家具の実寸と照らし合わせると
ここで、よくある家具のおおよその寸法を当てはめてみましょう。
| 家具の例 | 3辺合計のおおよその目安 | 通常の宅配便 |
|---|---|---|
| カラーボックス(3段) | 約200cm前後 | 条件次第で可 |
| シングルベッドのマットレス | 約300cm前後 | 不可 |
| 2〜3人掛けソファ | 約350cm前後 | 不可 |
| 食器棚・本棚(高さ180cm級) | 約340cm前後 | 不可 |
| デスクチェア | 約200cm前後 | 条件次第で可 |
つまり、小型の収納家具を除けば、大型家具のほとんどは通常の宅配便の枠には収まりません。ここで諦めるのではなく、次に紹介する家財専用のサービスに切り替えるのが正解です。
表の数字はあくまで目安なので、送りたい家具は実際に測っておきましょう。5m程度まで測れる金属製のメジャーが1本あると、家具も搬出経路も1人で測れます。
大型家具を送るための「家財宅配サービス」という選択肢
宅配便の上限を超えた家具・家電を、1点から運んでくれるサービスが存在します。引越しのようにトラックを貸し切るのではなく、宅配便の延長線上で「家具1点いくら」で運ぶ仕組みです。
家財おまかせ便(旧・らくらく家財宅急便)
大型家財の配送といえば長く「らくらく家財宅急便」の名前で知られてきましたが、現在はサービス名が「家財おまかせ便」に変わっています。運営していたヤマトホームコンビニエンス株式会社がアートグループの完全子会社となり、社名も「アートセッティングデリバリー株式会社」へ変更されたためです。
検索すると旧名称のページが今でも大量に出てくるため、古い料金表を見て見積もりを立ててしまう人が後を絶ちません。申し込み前に必ずアートセッティングデリバリーの公式ページで現行の条件を確認してください。
- ベッドやソファなどの大型家具・家電を1点単位で依頼できる
- スタッフ2名で伺い、搬入と設置・配置まで対応
- 梱包はスタッフが行うため、自分でダンボールを用意する必要がない
- 3辺合計は最大4.5m程度まで対応(サイズによりランク分け)
- 料金はサイズのランクと集荷地・お届け地の組み合わせで決まる
料金はサイズを何段階かのランクに区分して設定されており、大きいランクほど高くなります。上位ランクは配送できるエリアが限られていたり、通常より日数がかかったりする場合があるため、離島や山間部への発送を考えている方は事前に相談しておくと安心です。
佐川急便の飛脚大型家具・家電設置便
佐川急便にも、大型家具・家電を届けて設置まで行うサービスがあります。3辺合計160cm超〜260cm以内、1個あたり50kgまでが対象で、料金は発地と着地のエリア区分とサイズで決まります。詳細は佐川急便の公式サービスページから確認できます。
260cmという上限は、家財おまかせ便の450cmと比べると小さめです。中型までは佐川、そこを超える大物は家財おまかせ便という住み分けをイメージしておくと選びやすくなります。

申し込み前に必ず確認したい受付条件
サイズさえ収まれば送れる、というわけではありません。当日になって「これは運べません」となると、家具だけ取り残されて予定が崩れます。以下の項目は申し込み前に自分でチェックしておきましょう。
1. 3辺合計と最長辺を実測する
カタログ値ではなく、実際にメジャーで測ってください。脚やハンドル、取っ手の出っ張りも寸法に含まれます。特に最長辺の制限は見落としやすいポイントです。3辺合計はクリアしていても、長さだけが規格外というケースはよくあります。
2. 搬出・搬入の経路を確認する
家具が部屋から出せるかどうかは、家具そのもののサイズではなく通り道で決まります。玄関の開口幅、廊下の曲がり角、階段の踊り場、エレベーターの扉の幅と天井高。このどれかが足りないと搬出できません。
窓やベランダからのクレーン吊り上げ・吊り下ろしは、家財の配送サービスでは対応していないのが一般的です。吊り作業が必要になりそうな家具は、最初から引越し業者に相談したほうが確実です。
3. 対象外の品目を把握する
ピアノ、金庫、美術品、動植物、危険物などは、一般的に家財配送サービスの対象外です。また、事務所や店舗の什器のように業務用途と判断されるものは、別料金体系になることがあります。判断に迷うものは事前に電話で確認しておきましょう。
4. 補償の範囲を読んでおく
万が一の破損に備えた補償には上限額が定められています。高価な家具やアンティーク家具を送る場合は、補償額で足りるかを確認し、必要なら別の輸送手段を検討してください。思い入れのある家具ほど、事前確認の価値があります。
荷造りはどこまで自分でやる?
家財配送サービスの大きなメリットは、梱包をスタッフに任せられる点です。とはいえ、依頼者側で済ませておくべき準備もあります。
依頼者がやること
- 引き出しや棚の中身を空にする:中身が入ったままだと重量オーバーや破損の原因になります
- ガラス扉・可動棚板を外す:外れる部品は外して別梱包にしたほうが安全です
- 分解が必要な家具はネジをまとめる:袋に入れて本体にテープで留めておくと紛失を防げます
- 家具の中を掃除しておく:ホコリや汚れが付いたまま運ぶと、養生材に付着して周囲を汚します
- キズや欠けを写真に残す:もともとあった傷か輸送中のものかを判断する材料になります
スタッフがやること
毛布やパッド、専用資材による養生と梱包は基本的にスタッフが行います。プロの梱包は自己流とは精度が違うため、無理に自分でぐるぐる巻きにする必要はありません。むしろ独自の梱包をしてしまうと、サイズが膨らんでランクが変わることもあります。
組み立て家具の落とし穴
いわゆる組み立て式の家具は、一度分解すると強度が落ちたり、再組み立てできなくなったりすることがあります。分解せずそのまま運ぶとサイズが大きくなり料金も上がりますが、破損リスクを考えると、無理に分解しないほうがよい家具もあります。迷ったら、分解のリスクとサイズアップのコストを天秤にかけて判断しましょう。
脚だけ外す、棚板だけ抜くといった部分的な分解をするなら、ドライバーや六角レンチがそろった家庭用の工具セットがあると、ネジ山をつぶさずに作業しやすくなります。

家財の宅配便と引越し便、どちらを選ぶべきか
家具の配送サービスは「点数が少ないほど有利」な料金体系です。逆に点数が増えるほど、トラックを使う引越し便のほうが割安になります。判断の目安を整理します。
家財の宅配便が向いているケース
- 運びたい家具・家電が1〜3点程度
- ダンボールの荷物はほとんどない、または自分で宅配便で送れる量
- フリマアプリで売れた家具を発送したい
- 実家に家具を戻す、実家から家具をもらう
- 訪問見積もりの日程を組む余裕がない
単身パック型のサービスが向いているケース
家具が数点あり、ダンボールも10箱前後あるなら、専用ボックスに詰め込む単身パック型が候補になります。アートセッティングデリバリーの「わたしの引越」は、幅1m×奥行1m×高さ1.7mの専用ボックスを使い、利用本数・時期・輸送距離で料金が決まる仕組みです。訪問見積もりなしでWeb完結できる点も、忙しい方には向いています。
通常の引越し便が向いているケース
冷蔵庫・洗濯機・ベッド・ソファ・食器棚といった大物が5点以上ある場合や、生活まるごとを移す場合は、通常の引越し便のほうが総額で安く収まります。家具1点あたりの単価で考えると、点数が増えたときに家財の宅配便は割高になっていくためです。
ざっくりした判断の目安
| 運びたい荷物 | 向いている手段 |
|---|---|
| 家具・家電が1〜3点だけ | 家財の宅配サービス |
| 家具数点+ダンボール10箱前後 | 単身パック型(専用ボックス) |
| 家具・家電が5点以上+生活用品一式 | 通常の引越し便 |
| 吊り上げ搬入が必要そう | 引越し業者に相談 |
実際には、家財の宅配サービスと単身パックの両方で見積もりを取って比較するのが確実です。どちらもWebから概算を出せるので、5分程度で比べられます。
費用を抑えるための現実的なコツ
サイズのランクを1つ下げられないか考える
料金はサイズのランクで決まるため、あと数センチでランクが変わる場合は工夫の余地があります。脚を外す、棚板を抜くといった作業で3辺合計が縮められないか検討してみましょう。
日程に幅を持たせる
配送日を指定せず「いつでもよい」とすると、業者側が効率のよい便に載せやすくなります。急ぎでないなら日程を柔軟にしておくと調整がききます。
3月〜4月を避ける
新生活シーズンは家財の配送も混み合い、希望日が取りにくくなります。時期をずらせるなら、需要が落ち着く時期を選ぶと予約が取りやすくなります。
買い替えと比較する
長距離になるほど配送料は上がります。量販店のセール品と配送料を並べてみると、送るより買い替えたほうが安いというケースも珍しくありません。特に汎用的な収納家具やカラーボックス類は、送料が家具の値段を上回ることがあります。思い入れのある家具かどうかで線を引くとよいでしょう。
大型家具の配送に関するQ&A
Q. コンビニに持ち込んで大型家具を発送できますか?
A. できません。家財の配送サービスは自宅への集荷が前提です。スタッフ2名で伺い、搬出から梱包、輸送、搬入・設置までを一貫して行う形になります。コンビニ持ち込みが使えるのは、通常の宅配便のサイズに収まる荷物だけです。
Q. 冷蔵庫や洗濯機も送れますか?
A. サイズと重量の条件を満たしていれば対象になります。ただし、冷蔵庫は事前に電源を抜いて霜取りと水抜きを、洗濯機は給水・排水ホースの水抜きを済ませておく必要があります。この準備が終わっていないと当日運べないことがあるため、前日までに済ませておきましょう。
Q. マットレスは折り曲げて梱包してもいいですか?
A. スプリング入りのマットレスを無理に折り曲げると、内部のスプリングが変形して元に戻らなくなることがあります。圧縮梱包に対応しているのは一部のウレタン系マットレスに限られるため、自己判断で曲げずに、そのままのサイズで申し込むのが安全です。
Q. 送り先が実家で、受け取る人が高齢でも大丈夫ですか?
A. 家財の配送サービスは搬入と設置まで行うため、受け取る側が重い家具を持ち上げる必要はありません。ただし、当日は立ち会いと設置場所の指示が必要です。事前に置き場所を決めて、その周辺を片付けておいてもらうとスムーズです。
Q. 発送した家具が壊れていたらどうすればいいですか?
A. 受け取り時にその場で開梱して状態を確認し、破損があればすぐに配送スタッフに伝えてください。後日の申し出だと、輸送中の破損かどうかの判断が難しくなります。発送前に撮っておいた写真が、このときの証拠になります。
Q. 引越しと同時に、家具1点だけ別の住所へ送れますか?
A. 可能です。引越し業者に「1点だけ別の場所へ」と依頼すると別途料金がかかることが多いため、その1点だけ家財の配送サービスを使うほうが安く済む場合があります。両方の見積もりを取って比べてみてください。
Q. 見積もりはどのくらい前に取ればいいですか?
A. 家財の配送サービスはWebで概算を出せるものが多く、直前でも料金の目安はつかめます。ただし希望日に空きがあるかは別問題です。日程が決まっているなら、2週間以上前には押さえておくと安心です。
まとめ:測る、確認する、比べるの3ステップ
大型家具を宅配便で送りたいときの流れは、次の3ステップに集約されます。
- 測る:3辺合計と最長辺、重量を実測する
- 確認する:通常の宅配便で収まるか、家財配送サービスの対象か、搬出経路は通るかを確認する
- 比べる:家財配送・単身パック型・引越し便の3つで見積もりを取り、総額で比較する
サービス名や運営会社が変わっている点、そして最長辺の制限。この2つを押さえておけば、大きな失敗はまず起きません。家具1点の移動なら、引越し業者を呼ぶより手軽で費用も抑えられます。ぜひ活用してみてください。


