引越しをするときに、忘れずに出しておきたいのが郵便局の転居届です。この届出をしておけば、旧住所宛に届いた郵便物を新住所へ転送してもらえます。クレジットカードの明細、行政からの通知、年金や保険の書類など、住所変更が間に合わなかった差出人からの郵便を受け取るための、いわば安全網です。
ただし、この転送サービスには期限があります。転送期間は届出日から1年間で、放っておくと自動的に終了してしまいます。「まだ住所変更していない先があるのに、郵便が届かなくなった」という事態を避けるには、期限が来る前に延長の手続きをしておく必要があります。
この記事では、郵便の転送届の基本ルール、期間の延長方法、オンライン手続き「e転居」の使い方、転送されない郵便物の種類までまとめて解説します。引越しを控えている方も、すでに引越して1年が近づいている方も参考にしてください。

郵便の転居・転送サービスとは
郵便局に転居届を提出すると、旧住所宛に届いた郵便物やゆうパックなどを、新しい住所へ無料で転送してもらえます。差出人が住所変更に気づいていなくても、郵便が旧住所に置き去りにならずに済むのがこのサービスの価値です。
対象になるのは、届出をした本人と、同居している家族の分です。家族全員の名前をまとめて登録できるため、世帯単位で引越す場合も1回の手続きで済みます。逆に、名前を登録し忘れた家族宛の郵便は転送されないので、届出の際は漏れがないか確認しましょう。
転送期間は「届出日から1年間」
転送サービスの期間は、届出を受け付けた日から1年間です。引越し日から1年ではない点に注意してください。引越しのかなり前に届出をした場合、実際に新居で暮らし始めてからの転送期間は1年より短くなります。
サービス開始までには時間がかかります。日本郵便の案内では、転居届を提出してから登録までに3営業日から7営業日を要するとされています。土日祝日を挟むと1週間以上かかることもあるため、引越し直前ではなく、少し余裕を持って申し込んでおくのが賢い進め方です。
- 費用:無料で利用できます
- 期間:届出日から1年間
- 対象:届出人と同居家族宛の郵便物・ゆうパックなど
- 開始まで:転居届の提出から登録まで3〜7営業日かかります
引越しの前後は、転居届の控えや役所の書類、転送されてきた郵便物が一気にたまります。手続き関係の書類をまとめて入れておく書類ケースを1つ決めておくと、どこにしまったか探さずに済みます。
転送期間の延長はできる?やり方を解説
1年が経過すると転送は自動的に終わり、旧住所宛の郵便は差出人に返還されるようになります。まだ住所変更が済んでいない先がある場合は困ってしまいますが、同じ内容で転居届をもう一度提出することで、さらに1年間の転送を受けられます。
延長は「自動更新」ではない
ここが見落としやすいところです。転送期間は自動では延長されません。期限が近づいても通知が届くとは限らないため、自分で期限を管理しておく必要があります。引越しから11か月ほど経ったタイミングで、更新するかどうかを判断しましょう。
延長の手続き方法
手続きの内容は新規の届出と同じです。窓口・郵送・オンラインのいずれかで、あらためて転居届を提出します。オンラインの「e転居」を使えば、スマートフォンだけで完結するため、更新のたびに郵便局へ足を運ぶ必要はありません。
延長を申し込むときも、反映までに数日かかります。期限ぎりぎりに手続きすると、転送が途切れる期間が生まれる可能性があります。期限の1週間から2週間前には手続きを済ませておくと安心です。スマホの通知を見落としがちな方は、机に置く卓上カレンダーに期限を書き込んでおくのもひとつの方法です。
延長は何度でもできますが、転送はあくまで一時的な措置です。本来やるべきなのは、各サービスへの住所変更手続きです。延長に頼り続けるより、この1年のうちに登録先を洗い出して切り替えていくことをおすすめします。

転居届を出す3つの方法
転居届の提出方法は3つあります。自分の状況に合ったものを選びましょう。
方法1:郵便局の窓口で出す
最寄りの郵便局の窓口で転居届の用紙をもらい、その場で記入して提出します。本人確認書類と、旧住所が確認できるものが必要です。窓口の担当者に相談しながら記入できるため、手続きに不安がある方に向いています。
方法2:ポストに投函する
郵便局でもらった転居届の用紙に記入し、切手を貼らずにポストへ投函する方法もあります。窓口の営業時間に行けない方でも利用できるのがメリットです。ただし、本人確認の関係で確認の連絡が入ることがあります。
方法3:オンライン「e転居」で出す
いちばん手軽なのがオンライン手続きです。ウェブサイトや郵便局アプリから申し込みができ、郵便局へ行かずに入力だけで完結します。詳しい手順やサービス内容は日本郵便の転居・転送サービスのページで確認できます。
e転居を利用するには、本人確認済みの「ゆうID」でログインする必要があります。ゆうIDの新規登録と本人確認は、e転居のウェブサイトや郵便局アプリからそのまま進められます。本人確認は、指定された書類と顔写真をスマートフォンで撮影して送るオンライン方式です。どの書類が使えるかは日本郵便の案内画面で確認してください。
- 1:ゆうIDを作成し、本人確認を済ませる
- 2:旧住所・新住所・転送を希望する家族の氏名を入力する
- 3:転送開始希望日を設定する(登録に3〜7営業日かかる点を見込んでおく)
- 4:申し込み内容を確認して送信する
転送されない郵便物もある
転居届を出していても、すべての郵便物が転送されるわけではありません。届かないケースを知っておくと、トラブルを未然に防げます。
「転送不要」と書かれた郵便物
封筒に「転送不要」「転送不可」と記載されたものは転送されず、差出人に返還されます。銀行のキャッシュカードやクレジットカード、本人限定受取郵便など、本人確認を兼ねた重要書類でよく使われる指定です。
金融機関からの重要書類が旧住所へ送られてしまうと、カードの再発行や手続きのやり直しが必要になることがあります。銀行・クレジットカード・証券会社の住所変更は、転送サービスに頼らず最優先で済ませるのが鉄則です。
宛名に登録していない人宛の郵便
転居届に名前を登録していない人宛の郵便物は転送されません。同居家族が増えた場合や、旧姓宛の郵便が届く可能性がある場合は、追加で届出をしておきましょう。
宛名のないダイレクトメール
「ご入居者様」などの宛名で届くチラシ類は、特定の個人宛ではないため転送の対象外です。これらは新居の住人が受け取ることになります。
反対に、新居には前の住人宛の郵便やDMが届くこともあります。自分宛でも不要になった明細や、旧住所・氏名が印字された書類を処分するときは、手回し式のシュレッダーがあると気軽に細断できます。

宅配便やその他の配送はどうなる?
郵便局の転居届でカバーできるのは、あくまで日本郵便が扱う郵便物とゆうパックなどです。ヤマト運輸や佐川急便といった宅配会社の荷物は対象外になります。
各社が独自に転送に関するサービスを用意している場合もありますが、基本的にはネットショップやサービス側に登録している住所を自分で変更する必要があります。通販の利用が多い方は、引越し後に注文する前に登録住所を更新しておきましょう。あわせて、新居の郵便受けに名前を出しておくと、配達員が宛先を確認しやすくなります。
住所変更を忘れやすいサービス
| 分類 | 変更しておきたいもの |
|---|---|
| 金融 | 銀行、クレジットカード、証券口座、保険会社 |
| 通信 | 携帯電話、インターネット回線、動画配信などのサブスク |
| ネットショップ | 通販サイトの配送先、定期購入サービス |
| 行政・公的 | 運転免許証、パスポート、年金、自動車の車検証 |
| その他 | 職場の登録住所、各種会員サービス、定期購読 |
転送期間の1年は、これらを洗い出して手続きするための猶予期間だと考えるとよいでしょう。転送されてきた郵便物の差出人をメモしておくと、住所変更が必要な先のリストが自然にできあがります。「未対応」「手続き済み」で仕切れる蛇腹式のファイルに分けて入れておくと、進み具合がひと目でわかります。
役所の転出・転入手続きとの違い
ときどき混同されますが、郵便局の転居届と役所の転出届・転入届はまったく別の手続きです。役所に住民票の異動を届け出ても、郵便が自動的に転送されることはありません。逆に、郵便局に転居届を出しても住民票は動きません。
どちらも引越しに必要な手続きなので、それぞれ忘れずに行いましょう。マイナンバーカードを持っている方は、マイナポータルの引越し手続きページから転出届をオンラインで提出でき、役所へ行く回数を減らせます。郵便の転居届もオンラインで済ませれば、外出せずに2つの手続きを片づけられます。
転送を止めたいときは
「もう住所変更が全部終わったので転送はいらない」「登録内容を間違えた」といった場合は、転送の取り消しや変更の申し出ができます。窓口で相談するか、郵便局のカスタマーサービスへ問い合わせましょう。
また、旧住所に引き続き誰かが住んでいる場合、その人宛の郵便まで転送されてしまわないよう、登録した氏名の範囲には注意が必要です。ルームシェアの解消や家族の別居をともなう引越しでは、特に慎重に確認しておきましょう。

Q&Aコーナー:郵便の転送届に関するよくある質問
Q1. 転送届は何回まで延長できますか?
日本郵便の案内では回数の上限には触れられておらず、必要であれば1年ごとに手続きを繰り返すことで転送を継続できます。ただし、そのつど新規と同じ手続きが必要になるため、忘れずに管理しておきましょう。
Q2. 期限が切れてから気づきました。もう転送してもらえませんか?
あらためて転居届を提出すれば、そこから1年間の転送が始まります。ただし、期限切れの期間に旧住所へ届いた郵便物は差出人に返還されている可能性が高く、さかのぼって受け取ることはできません。
Q3. 実家から一人暮らしを始めます。自分宛の郵便だけ転送できますか?
できます。転居届では転送を希望する人の氏名を指定できるため、自分だけを登録すれば家族宛の郵便は実家に届いたままになります。登録する名前を間違えないよう、記入時によく確認しましょう。
Q4. 引越し前に転居届を出しても大丈夫ですか?
問題ありません。転送開始希望日を指定できるため、引越し日にあわせて設定しておけば、狙ったタイミングから転送が始まります。ただし転送期間は届出日から1年で数えられるため、極端に早く出すと実質的な期間が短くなる点は覚えておきましょう。
Q5. e転居はどのくらいで反映されますか?
申し込み自体は短時間で終わりますが、システムへの登録と転送開始までには3営業日から7営業日かかると案内されています。土日祝日を挟むと実際にはもう少し先になるため、余裕を持って申し込んでください。
Q6. 海外へ引越す場合も転送してもらえますか?
国内から海外への転送は対象外です。海外へ移る場合は、日本国内に受け取りを頼める家族や知人の住所を転送先に指定するか、各サービスの住所登録を個別に変更する方法を検討することになります。
Q7. 転送された郵便は届くのが遅くなりますか?
いったん旧住所の配達エリアを経由してから新住所へ回されるため、通常より数日遅れて届くのが一般的です。急ぎの書類を受け取る予定があるときは、差出人に新住所を直接伝えておくほうが確実です。
Q8. 住民票を移さずに引越した場合でも使えますか?
郵便の転居届は住民票の異動とは別の手続きなので、住民票を移していなくても申し込めます。単身赴任や一時的な転居でも利用できるサービスです。
まとめ:転送期間は1年、延長は自分で手続きを
郵便局の転居・転送サービスは、旧住所宛の郵便物を新住所へ無料で転送してくれる仕組みです。期間は届出日から1年間で、自動延長はされません。引き続き必要な場合は、同じ内容の転居届をもう一度提出することで1年間の延長ができます。
手続きは窓口・郵送・オンラインの3通りがあり、なかでもe転居を使えばスマートフォンだけで完結します。本人確認済みのゆうIDが必要になるため、初回は少し時間を見ておくとよいでしょう。
注意したいのは、「転送不要」と書かれた郵便物は転送されないという点です。銀行やクレジットカードといった金融関係の住所変更は、転送サービスに頼らず優先して済ませておきましょう。転送期間はあくまで、各種手続きを片づけるための猶予期間です。この1年を使って、登録先の住所を着実に切り替えていってください。


