「引越しというほどではないけれど、ソファとベッドだけ新居へ運びたい」「フリマアプリで売れた食器棚を発送したい」——大型家具を1点だけ動かしたいとき、どこに頼めばいいのか意外と分かりにくいものです。
普通の宅配便ではサイズオーバーで受け付けてもらえず、かといって引越し業者に頼むと大げさすぎる気がする。この隙間を埋めるのが家具・家電に特化した配送サービスです。
この記事では、大型家具のみを運ぶ主な方法と、それぞれの費用相場、選ぶ際の判断基準を整理します。サイズと点数、距離の3つが分かれば、最適な手段はすぐに見つかります。
大型家具のみを運ぶ主な5つの方法
まずは選択肢を並べてみましょう。それぞれ得意な条件がはっきり分かれています。
1. 家具・家電専用の配送サービス
ベッド、ソファ、タンス、冷蔵庫といった大型品を1点から運んでくれるサービスです。梱包から搬出、輸送、搬入、設置、梱包材の回収までを一括で行ってくれるのが特徴で、家具1点だけを送りたい場合の本命といえます。
かつてヤマトホームコンビニエンスが「らくらく家財宅急便」の名称で展開していましたが、記事執筆時点では運営がアートセッティングデリバリーへ移り、「家財おまかせ便」という名称でサービスが継続されています。名前で検索して見つからない場合は、この点を思い出してください。申し込みやシミュレーションはアートセッティングデリバリーの公式サイトから行えます。
2. 赤帽・軽貨物運送
軽トラックをチャーターして運ぶ方法です。近距離で複数点をまとめて運ぶなら、1点ごとに課金される専用サービスより安くなることがあります。近場なら1万円台から依頼できる場合もあります。
ただし基本はドライバー1名での作業です。大型ソファやダブルベッドなど、1人で持てない家具は依頼主も手伝う前提になります。詳しくは赤帽の公式サイトを確認してください。
3. 引越し業者の単品輸送プラン
多くの引越し業者が、家具1点からの輸送に対応しています。引越しのついでではなく単品でも受けてくれるため、大型家具が3〜5点あるようなケースでは総額が抑えられることがあります。分解が必要な家具にも慣れているので、安心感は高めです。
4. 便利屋・不用品回収業者
地域の便利屋に頼む方法もあります。時間制で料金が決まることが多く、家具の移動と不用品の処分を同時に依頼できるのがメリットです。ただし運送業の許可を持たない事業者もいるため、依頼前に確認が必要です。
5. レンタカーで自分で運ぶ
軽バンやハイエースを半日借りて自力で運ぶ方法です。車両代は数千円から1万円台。近距離で、手伝ってくれる人がいるなら最安になり得ます。ただし養生や積み方の知識がないと、家具にも建物にも傷が付くリスクがあります。
自力で運ぶ場合は、駐車場から玄関までの移動に台車があるだけで負担がかなり変わります。折りたたみ式なら、使わないときも場所を取りません。

家具専用配送サービスの料金の仕組み
専用サービスの料金は、宅配便と同じく「サイズ」と「距離」で決まりますが、区分の考え方が少し違います。
3辺の合計でランクが決まる
家具の高さ・幅・奥行の3辺を足した合計値でランクが割り当てられ、そのランクと配送距離の組み合わせで料金が確定します。ランクは3辺合計80cmのSSから450cmのGまで細かく設定されており、大きくなるほど料金が上がる仕組みです。
| 3辺合計の目安 | 該当する家具の例 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| 160cm前後 | 電子レンジ、小型テレビ、椅子 | 数千円〜1万円前後 |
| 250cm前後 | 洗濯機、シングルマットレス | 1万円前後 |
| 350cm以上 | 大型冷蔵庫、ダブルベッド、大型ソファ | 1万円〜2万円前後 |
これはあくまで目安です。実際の金額は距離によって大きく変わるため、公式サイトの料金シミュレーションで確認してください。なお3辺合計が400cmを超えるような特に大きい家具は、配送できる地域が限られることがあります。大型のソファやキングサイズのベッドを送りたい場合は、申し込み前に配送可否を問い合わせておくと安心です。
採寸は「いちばん出っ張っている部分」で測ります。取っ手や脚を含めずに測ると、当日にランクが上がって追加料金が発生します。メジャーで実測し、余裕をもって申告しましょう。
階段作業やクレーンは別料金
エレベーターのない建物の上階、玄関から入らずベランダから吊り上げる必要がある場合などは、追加料金がかかります。特にクレーン作業は数万円単位になるため、事前に間口の寸法を測っておくことが欠かせません。
方法別・向いているケースの早見表
条件ごとにどの方法が有利かをまとめました。
| 条件 | 向いている方法 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 家具1点・長距離 | 家具専用配送サービス | 1〜2万円台 |
| 家具1点・近距離 | 軽貨物または専用サービス | 数千円〜1万円台 |
| 家具3〜5点・近距離 | 軽貨物のチャーター | 1〜3万円台 |
| 家具5点以上 | 引越し業者の単品プラン | 3万円台〜 |
| 組み立て家具・分解が必要 | 引越し業者 | 作業費が別途 |
| 不用品処分も同時に | 便利屋・回収業者 | 時間制で数千円〜 |
迷ったら、専用サービスの料金シミュレーションで金額を出し、その額を基準に軽貨物や引越し業者へ相見積もりを取る流れがおすすめです。

依頼前にやっておくべき5つの準備
1. 家具の寸法を正確に測る
高さ・幅・奥行をメジャーで測り、いちばん大きい数字を採用します。3辺の合計値をメモしておけば、どのサービスでも見積もりがスムーズです。
2. 搬出入経路の幅を測る
玄関ドア、廊下、階段の踊り場、エレベーターの入口——このどれか一つでも家具より狭ければ、そこで作業は止まります。家具の幅より5cm以上の余裕がある経路かを確認しておきましょう。
3. 分解できるかを確認する
ベッドフレームや組み立て式の棚は、分解すれば搬出入がぐっと楽になり、料金ランクも下がる可能性があります。取扱説明書や組立図が手元にあるか探しておきましょう。
組み立て家具の付属工具をなくしてしまった場合でも、サイズ違いがそろった六角レンチのセットがあれば、たいていのネジに対応できます。
4. 中身を空にする
タンスや食器棚の中身は必ず出しておきます。中身が入ったままでは重量オーバーで運べず、当日に断られることもあります。引き出しはテープで固定するか、外して別に梱包します。
5. 建物のルールを確認する
マンションによっては、搬出入に使えるエレベーターや時間帯が管理規約で定められています。事前に管理会社へ連絡し、養生の要否も確認しておくと当日が円滑です。
「家具の3辺合計」「搬出入経路の最小幅」「エレベーターの有無と階数」の3つをメモしておくと、どの業者に問い合わせても一発で見積もりが出ます。
家具のみの配送費用を抑えるコツ
まとめて依頼して1回の作業に集約する
家具専用の配送サービスは1点ごとに料金がかかりますが、同じ場所から同じ場所へ複数点を送る場合は割引が適用されることがあります。逆に軽貨物のチャーターは1台分の料金なので、点数が増えるほど1点あたりの単価は下がります。バラバラに手配せず、一度にまとめるだけで総額が変わります。
分解して料金ランクを下げる
ベッドフレームやテーブルは、脚を外したり天板と分けたりするだけで3辺合計が小さくなり、料金ランクが1段下がることがあります。自分で分解できる家具なら、事前に外しておくと効果的です。
日時指定をゆるめる
「この日のこの時間帯」と細かく指定するより、幅を持たせたほうが安く受けてもらえる場合があります。特に軽貨物や便利屋への依頼では、こちらが日程を譲るほど交渉の余地が生まれます。
近距離なら地域の運送業者も調べる
全国規模のサービスは料金体系が明快な反面、近距離では割高になることがあります。同じ市内や隣接市への配送なら、地元の運送業者や便利屋のほうが安いケースも少なくありません。地域名と「家具 配送」で検索し、2〜3社に問い合わせてみましょう。
不用品の処分とセットで考える
運ぶ家具と処分する家具が両方あるなら、回収と配送をまとめて受けてくれる事業者に相談すると、往復の無駄が省けます。処分費用がかかる家電リサイクル対象品については、扱いが別になる点に注意してください。
組み立て家具を運ぶときの注意
大型家具のなかでも扱いが難しいのが、いわゆる組み立て式の家具です。
再組立を保証できない場合がある
ネジ穴が広がって強度が落ちる、パーツが変形するといった理由から、一度組み立てた家具の分解・再組立を受けられない、あるいは破損しても補償対象外とする業者があります。運びたい家具のメーカーと種類を伝えて、事前に条件を確認しましょう。
分解せずそのまま運べる場合もある
経路に余裕があれば、分解せず組み立てたまま運ぶほうが安全です。毛布で全体をくるみ、扉や引き出しをテープで固定して運びます。分解のリスクを避けたいなら、この方法を業者に相談してみてください。
扉や引き出しを留めるときは、塗装を傷めにくい養生テープを使うと、はがしたあとにベタつきが残りにくくなります。
ガラス扉・鏡は別扱い
食器棚のガラス扉や姿見は、破損しやすいため専用の梱包が必要です。追加料金がかかることもありますが、割れた場合の損失を考えれば必要な投資です。
よくある質問
Q. 宅配便では大型家具を送れませんか?
一般的な宅配便には3辺合計と重量の上限があり、大型家具は基本的に対象外です。ソファやベッド、大型冷蔵庫などは、家具・家電専用の配送サービスや運送業者に依頼する必要があります。
Q. フリマアプリで売れた家具はどう送ればいいですか?
アプリの提携配送サービスに大型サイズの区分が用意されていることが多く、そこから申し込むのが手軽です。提携がない場合は、家具専用の配送サービスを個別に手配します。出品前に送料の目安を調べておくと、価格設定で損をしません。
Q. 家具の設置までしてもらえますか?
家具専用の配送サービスでは、指定した部屋への設置まで含まれるのが一般的です。一方、軽貨物や一般の運送業者では玄関渡しになることもあります。設置まで必要かどうかを、申し込み時にはっきり伝えましょう。
Q. 当日に運べないと言われることはありますか?
あります。経路が狭くて入らない、申告よりサイズが大きい、中身が入ったままといった理由です。いずれも事前準備で防げるものばかりなので、寸法の実測と経路の確認は必ず行ってください。
Q. 家具が傷ついた場合の補償はどうなりますか?
運送業者は標準の約款に基づいて対応します。ただし補償の範囲や上限は事業者ごとに異なるため、申し込み前に必ず確認しましょう。高価な家具の場合は、補償が手厚いサービスを選ぶほうが安心です。運送業者が使う約款そのものは国土交通省の標準運送約款のページで公開されており、責任の範囲がどう定められているかを読むことができます。
Q. 家具だけ先に新居へ運んでおくことはできますか?
できます。引越し当日に大型家具が邪魔になるのを避けたい方や、リフォームの都合で先に搬入したい方が使う方法です。ただし新居の鍵の引き渡し日より前には搬入できないため、日程には注意してください。到着日を指定できるかどうかはサービスによって違うので、申し込み時に希望を伝えておきましょう。
Q. 集荷から到着まで何日くらいかかりますか?
宅配便のような翌日配送は基本的にできません。集荷日と配達日をそれぞれ調整する仕組みのため、数日から1週間程度を見ておくと安全です。3月から4月の引越しシーズンはさらに日程が詰まりやすく、希望日が取れないこともあります。日付が決まっているなら、早めに手配しておきましょう。
Q. 古い家具は運ぶより買い替えたほうがいいですか?
判断の目安は「配送費が家具の再購入価格の半分を超えるか」です。数千円の組み立て家具に1万5,000円の配送費をかけるのは合理的とはいえません。一方、思い入れのある家具や高価な家具は、費用をかけてでも運ぶ価値があります。
まとめ
大型家具だけを運びたいときは、点数と距離で方法を切り替えるのが基本です。1〜2点なら家具・家電専用の配送サービス、3点以上や近距離なら軽貨物のチャーター、分解が必要な家具が多いなら引越し業者の単品プランが向いています。
そして何より大切なのが事前の採寸です。3辺の合計と搬出入経路の幅を測っておくだけで、見積もりの精度が上がり、当日のトラブルもほぼ防げます。運ぶ価値があるかどうかも含めて、落ち着いて判断していきましょう。
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