家賃や食費と違って、通信費は一度見直すと効果がずっと続く支出です。契約を変えたその月から金額が下がり、あとは何もしなくても毎月の差が積み上がっていきます。それにもかかわらず、面倒さが先に立って手つかずのままという方は少なくありません。
一人暮らしの通信費は、スマートフォンの料金と自宅のインターネット回線の合計で決まります。この2つを別々に考えず、セットで設計するのが、無駄を出さないための基本です。
この記事では、通信費の平均的な水準を確認したうえで、スマホと自宅回線それぞれの見直しの手順、そして両方を組み合わせるときの考え方を解説します。引越しのタイミングは、契約を見直すのに最も向いた時期です。

一人暮らしの通信費はどのくらいか
平均的な水準を知る
総務省の家計調査では、単身世帯の通信費の平均はおおむね月7,000円前後で推移しています(総務省 家計調査 家計収支編・単身世帯)。同じ調査で単身世帯の消費支出は平均173,042円と報告されているため、通信費は支出全体の4%前後にあたります。
この7,000円前後という数字は、スマートフォンの料金と自宅のインターネット料金を合わせた金額です。大手キャリアのプランをそのまま使い、光回線も契約していると、この水準を大きく超えることも珍しくありません。
まずは今の請求額を分解する
見直しの第一歩は、いま何にいくら払っているかを把握することです。スマホの明細には、基本料金のほかに端末の分割代金、オプション料金、通話料などが含まれています。
| 項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 基本プラン料金 | 契約中のデータ容量と実際の使用量が合っているか |
| 端末の分割代金 | あと何回残っているか、完済後に安くなるか |
| オプション | 加入したまま使っていないサービスがないか |
| 自宅回線 | キャンペーン期間が終わって値上がりしていないか |
使っていないオプションが残っているケースは非常に多いため、まずここを確認するだけでも下がることがあります。
分解した金額は、家計簿ノートなどに書き出しておくと、見直し前後の差がひと目で分かり、ほかの固定費を見直すときにも役立ちます。
直近3か月のデータ使用量を確認してください。多くの方は契約している容量を使い切っていません。20GBの契約で毎月5GBしか使っていないなら、それだけで見直しの余地があります。逆に毎月上限に達して速度制限がかかっているなら、容量を増やしたほうが快適になります。
スマートフォンの料金を見直す
オンライン専用プランを検討する
大手キャリアが提供するオンライン専用プランは、店頭サポートがない代わりに料金が抑えられています。記事執筆時点で公式サイトに掲載されている料金では、ドコモのahamoが30GBで月額2,970円(税込)。ソフトバンクのLINEMOは「ベストプランV」が30GBまで月額2,970円(税込)で、5分以内の国内通話定額が含まれた内容になっています。
LINEMOにはもう一つ「ベストプラン」があり、こちらは使った量に応じて料金が変わる段階制です。記事執筆時点では3GBまで月額990円(税込)、10GBまで月額2,090円(税込)という設定で、データ量が少なめの方はこちらのほうが合うこともあります。
KDDIのpovo2.0は基本料0円を土台に、必要なデータ量をトッピングとして買い足す方式です。使う月と使わない月の差が大きい方に向いた仕組みといえます。ただし、一定期間まったく有料トッピングを購入しない状態が続くと利用停止や契約解除になる場合があるという条件が公式サイトに示されているため、ほとんど使わない月が続く見込みの方は条件を読んでおきましょう。
データ量に応じて変わるプランを使う
楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」も、使ったデータ量に応じて料金が段階的に変わる方式です。記事執筆時点で公式サイトに掲載されている料金は、3GBまでが月額1,078円(税込)、20GBまでが2,178円(税込)、20GBを超えると3,278円(税込)でデータ無制限という設定です。
月によって使用量がばらつく方であれば、こうした段階制のプランは無駄が出にくくなります。
格安SIMという選択肢
大手キャリアの回線を借りて提供される格安SIMは、料金がさらに抑えられている場合があります。ただし昼休みなど利用が集中する時間帯に速度が落ちやすいという特性があります。通信の安定性を重視するか、料金を重視するかで判断してください。乗り換えを機に端末も新しくしたい場合は、SIMフリーのスマホを自分で用意して、回線だけを契約するという組み合わせ方もあります(対応バンドは各社の公式サイトで確認しておきましょう)。
料金プランは改定されることがあります。ここに挙げた金額は記事執筆時点で確認したものです。申し込みの前には各社の公式サイトで最新の料金と条件をご確認ください。また、キャンペーンの割引には適用期間や条件があるため、期間終了後の金額も併せて確認しておくと想定外の値上がりを避けられます。
乗り換えの手続きは簡単になっている
電話番号を変えずに携帯電話会社を変更する仕組みがMNPです。以前は元の会社で予約番号を発行してもらう手順が必要でしたが、対応する事業者間ではワンストップ申請が導入され、新しい会社に申し込むだけで手続きが完結するようになりました。詳しくは総務省の携帯電話ポータルサイトで確認できます。

自宅のインターネット回線をどうするか
そもそも自宅回線が必要かを考える
一人暮らしの場合、自宅回線を契約しないという選択もあります。在宅時間が短く、動画も外出先で見ることが多いなら、スマートフォンのテザリングだけで足りることがあります。
判断の目安は、自宅で使うデータ量です。在宅ワークやオンライン会議が日常的にある方は、固定回線があったほうが安定します。逆に、スマホでSNSと音楽を使う程度なら、大容量プラン一本にまとめたほうが安く済む場合があります。
光回線・ホームルーター・モバイルルーターの違い
| 種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 光回線 | 速度と安定性が高い。開通工事が必要 | 在宅ワーク、オンラインゲーム |
| ホームルーター | コンセントに挿すだけ。工事不要 | すぐ使いたい、短期居住 |
| モバイルルーター | 持ち運べる。屋外でも使える | 外出先でも作業する |
賃貸では、そもそも光回線の工事ができない物件もあります。契約前に管理会社へ確認しておきましょう。光回線を選ぶ場合、Wi-Fiルーターは自分で用意するケースもあるので、レンタル料金と購入価格を比べておくと無駄が出にくくなります。
マンション備え付けのインターネットを確認する
物件によっては、インターネットが最初から使える状態で提供されていることがあります。この場合、別途の契約は不要です。ただし共用の回線を分け合う形になるため、時間帯によって速度が落ちることもあります。
内見時に、インターネットが無料で使えるか、その場合の速度はどの程度かを聞いておくと、契約の判断がしやすくなります。
スマホとのセット割を確認する
携帯電話会社と同じ系列の回線を契約すると、スマホの料金が割引になる仕組みがあります。合計金額で比べたときに得になることがあるため、単体の料金だけで判断しないようにしてください。ただし割引条件は変更されることがあるため、公式サイトで最新の内容を確認しましょう。
引越しのときにやっておきたいこと
解約金と工事費の残債を確認する
光回線を契約している場合、引越し先へ移転するか、解約して新規契約するかを選ぶことになります。工事費を分割で支払っている途中だと、解約時に残債の一括請求が発生することがあります。
開通までの期間を見込んでおく
光回線の開通工事は、申し込みから完了まで日数がかかります。繁忙期はさらに時間が延びることもあります。入居してすぐネットが使えるとは限らないため、申し込みは早めに済ませておくと安心です。
開通までのつなぎとして、スマートフォンのテザリングや短期レンタルのモバイルルーターを使う方法もあります。
住所変更の手続きを忘れない
携帯電話会社への住所変更手続きは、忘れると請求書や重要な通知が届かなくなります。オンラインで完結できることが多いので、引越し後の早い段階で済ませておきましょう。

スマホ単体で完結させるという考え方
一人暮らしの通信費を大きく下げる方法として、自宅回線を契約せず、スマートフォンの大容量プラン一本にまとめるやり方があります。二重に払う構造そのものをなくすため、効果は分かりやすく出ます。
成立する条件
この方法が成り立つのは、自宅で使うデータ量が契約容量に収まる場合です。動画配信を毎日何時間も見る、オンラインゲームをする、テレワークでビデオ会議が続くといった使い方だと、容量も安定性も足りなくなります。
逆に、平日は帰宅が遅く、休日も外出が多いという生活であれば、自宅回線を契約しても使う時間はわずかです。在宅時間の長さが判断の分かれ目になります。
テザリングの注意点
スマートフォンからパソコンへテザリングをする場合、プランによってはテザリングで使えるデータ量に上限が設けられていることがあります。契約前に条件を確認しておきましょう。また、テザリング中は端末の発熱とバッテリー消費が大きくなるため、充電しながら使う前提で考えたほうが実用的です。
大容量プランと固定回線の損得を並べる
大容量プランに変更した場合の月額と、標準的なプラン+自宅回線の合計を並べて比べてみてください。差が小さいなら、安定性のある固定回線を選んだほうが満足度は高くなります。差が大きいなら、まとめる価値があります。

通信費の無駄が生まれやすい場所
使っていない有料オプション
契約時に加入した補償サービスや動画配信のオプションが、そのまま残っていることがあります。月数百円でも、年間では数千円の差になります。明細に並ぶ項目を一つずつ確認し、内容が思い出せないものは調べてみてください。
キャンペーン終了後の値上がり
自宅回線は、最初の1〜2年だけ割引が適用される契約が多くあります。割引期間が終わった月から金額が上がっていることに気づかないケースは珍しくありません。契約から2年が経っている方は、一度明細を確認してみましょう。
データ容量の過剰契約
以前は必要だった容量が、生活の変化で不要になっていることがあります。在宅ワークが増えて自宅Wi-Fiの利用が中心になった方は、スマホの容量を落とせる可能性があります。
複数のサブスクリプションの重複
通信費そのものではありませんが、通信環境と一緒に契約した動画や音楽のサービスが重複していることがあります。同じジャンルのサービスを複数契約していないか、この機会に確認しておくと無駄が減ります。
よくある質問
Q. 格安SIMにすると電話番号は変わりますか?
MNPの手続きを利用すれば、番号はそのまま引き継げます。手続きの詳細は総務省の携帯電話ポータルサイトにまとまっています。
Q. データ容量はどのくらい必要ですか?
自宅にWi-Fiがある方なら、外出先で使う分だけで足ります。動画を外で見ない方なら数GBで足りることも多く、逆に通勤中に動画を見る習慣があると20GB以上必要になることもあります。まずは直近の使用量を確認してみてください。
Q. 端末の分割代金が残っていても乗り換えられますか?
乗り換えは可能ですが、残っている分割代金の支払いは続きます。乗り換え後も元の会社への支払いが残る点を踏まえて判断してください。
Q. テザリングだけで在宅ワークはできますか?
作業内容によります。文書作成やメール中心なら問題ない場合が多い一方、ビデオ会議や大容量のファイル送受信が多いと、データ量も安定性も足りなくなることがあります。会社から回線の要件が示されている場合は、それに従ってください。固定回線がある場合は、ビデオ会議のときだけでもパソコンをLANケーブルで有線接続しておくと、接続が安定しやすくなります。
Q. 契約を変えるとメールアドレスはどうなりますか?
キャリアメールは、契約を変えると使えなくなることがあります。有料で持ち運べる仕組みを用意している会社もありますが、重要なサービスの登録は先にフリーメールへ移しておくと安全です。
Q. 通信費はどこまで下げるべきですか?
安さだけを追うと、速度や通話品質で不便を感じることがあります。自分が譲れない条件を先に決め、その範囲で安いものを選ぶという順番にすると失敗しにくくなります。
まとめ
一人暮らしの通信費を見直す手順を整理します。
- 単身世帯の通信費は月7,000円前後が目安(総務省 家計調査)
- まず明細を分解し、使っていないオプションを外す
- 直近のデータ使用量を確認してプランを合わせる
- オンライン専用プランや段階制プランを検討する
- 自宅回線が本当に必要かをデータ使用量から判断する
- 引越し時は解約金・工事費残債・開通期間を確認する
通信費は、一度見直せば効果が長く続く数少ない支出です。引越しの準備で忙しい時期ではありますが、契約を整理するにはちょうどいいタイミングでもあります。

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参考リンク
- 総務省「携帯電話ポータルサイト」(乗換えの基本と手続き)
- 総務省「携帯電話・PHSの番号ポータビリティ(MNP)」(番号を変えずに乗り換える仕組み)
- 総務省統計局「家計調査」(通信費の平均額の出典)


