引越しの手続きの中でも、後回しにされやすいのが銀行の住所変更です。日常的にATMやアプリで残高を確認できてしまうため、「住所が古いままでも困っていない」と感じる方が多いのかもしれません。
ところが、銀行から届く書類の多くは「転送不要」で送られるため、郵便局の転送サービスではカバーできません。キャッシュカードの再発行やローンの案内、税務関連の書類などが差出人に返送され続けると、取引の一部が制限されることもあります。
幸い、いまはインターネットバンキングやスマートフォンアプリから住所変更ができる銀行が増えています。この記事では、ネットでの手続きのやり方、必要になる書類、窓口へ行く必要があるケースまで整理します。引越しのToDoリストの中でも、優先度を上げて片づけておきたい項目です。

なぜ銀行の住所変更が大切なのか
銀行には、口座を持っている人の情報を正しく把握する義務があります。これは犯罪収益移転防止法に基づくもので、氏名・住所・生年月日といった情報に変更があったときは届け出るよう求められています。
実務的なリスクも見ておきましょう。
- 重要書類が届かない:キャッシュカードや通帳の再発行分、各種の通知が受け取れません
- 郵便が返送され続ける:転送不要の指定があるため、転送サービスでは救えません
- 取引が一部制限される:連絡が取れない状態が続くと、手続きに制約が出ることがあります
- 本人確認に手間がかかる:いざ手続きしたいときに窓口へ出向く必要が生じます
特に、住宅ローンや投資信託など継続的な取引がある方は影響が大きくなります。年に一度届く取引残高報告書のような書類も、住所が古いままだと受け取れません。
引越しの時期は、役所の書類や銀行・カード会社からの郵便が一気に増えます。手続き関係の書類はなくしやすいので、引越し用の書類ケースを1つ決めてまとめておくと、住所変更のときに探し回らずに済みます。
ネットで住所変更できる銀行は増えている
かつては窓口か郵送しか方法がありませんでしたが、現在は多くの銀行がオンラインでの住所変更に対応しています。インターネットバンキングの契約がある方なら、24時間いつでも手続きできることが多くなりました。
三菱UFJ銀行の場合
インターネットバンキングから手続きできるほか、住所や電話番号の変更に対応した専用のスマートフォンアプリも用意されています。本人確認のために、新しい住所が記載された運転免許証やマイナンバーカードを使う形が案内されています。詳細は三菱UFJ銀行の住所・電話番号変更のページで確認できます。
三井住友銀行の場合
銀行のアプリやインターネットバンキングから住所・電話番号の変更が可能です。手続きにあたっては、セキュリティ機能の登録やワンタイムパスワードの入力が必要になると案内されています。取り扱っている商品によっては、オンラインでは手続きできない場合があります。手順は三井住友銀行の住所・電話番号の変更のページにまとまっています。
ゆうちょ銀行の場合
手続き専用のアプリや、インターネットバンキングのサービスから住所変更ができます。認証にはアプリやトークンを使う形が案内されています。投資信託や国債の口座を持っている方は、マイナンバーが確認できる書類が必要になる点が示されています。詳しくはゆうちょ銀行の住所・氏名・印章の変更のページをご覧ください。
ここで挙げたのはあくまで一例です。地方銀行や信用金庫でも、オンライン手続きに対応するところが増えています。手続き方法や必要書類は各行で異なり、変更されることもあるため、実際に手続きする前に公式サイトで最新の案内を確認してください。

手続きに必要なものを準備しよう
オンラインでの住所変更でつまずきやすいのが、本人確認の段階です。新しい住所が記載された本人確認書類を求められるケースが多いため、準備の順番が重要になります。
本人確認書類として使われるもの
| 書類 | ポイント |
|---|---|
| マイナンバーカード | 券面の住所を書き換えていれば使えます |
| 運転免許証 | 裏面に新住所の記載があれば使えることが多いです |
| 健康保険の資格確認書 | 取り扱いは金融機関によって異なります |
| 住民票の写し | 郵送や窓口での手続きで求められることがあります |
だから「順番」が大切になる
役所で転入届を出した際に、マイナンバーカードの住所も書き換えてもらえます。運転免許証の住所変更は警察署や運転免許センターで行います。これらを先に済ませておくと、銀行の手続きがスムーズに進みます。
引越し前後はマイナンバーカードを持ち歩く場面が増えるので、傷や紛失を防ぐカードケースに入れておくと安心です。
- 1:役所で転入届(同時にマイナンバーカードの住所変更)
- 2:運転免許証の住所変更(警察署・免許センター)
- 3:銀行・クレジットカード・証券会社の住所変更
- 4:保険・年金・その他の会員サービス
ネットでは手続きできないケースもある
すべての口座がオンラインで完結するわけではありません。次のような場合は、窓口や郵送での手続きが必要になることがあります。
特定の商品を利用している場合
投資信託、財形貯蓄、マル優などの制度を利用している方は、オンラインでは対応できないと案内している銀行があります。これらは税制上の取り扱いが絡むため、別途書類の提出を求められることが多いようです。
インターネットバンキングの契約がない場合
そもそもネットバンキングを契約していないと、オンラインでの手続きはできません。この機会に申し込んでおくと、今後の住所変更や振込がぐっと楽になります。
法人口座・屋号付き口座の場合
個人事業主の屋号付き口座や法人口座は、必要書類が個人口座と異なります。登記事項証明書などが求められることもあるため、事前に問い合わせておくと安心です。
本人確認書類の住所がまだ古い場合
新住所が記載された書類が用意できないと、オンラインでの手続きが進められないことがあります。この場合は、免許証やマイナンバーカードの住所変更を先に済ませてから取りかかりましょう。

ネット銀行の場合はどうする?
店舗を持たないネット銀行は、もともとオンライン中心のサービス設計になっています。マイページから住所変更の申請を行い、本人確認書類の画像をアップロードするという流れが一般的です。
スマートフォンのカメラで書類を撮影して送信する方式なら、その場で申請が完了します。審査に数営業日かかることがあるので、引越し直後の落ち着いたタイミングで済ませておきましょう。
ネット銀行はキャッシュカードやデビットカードの発送も郵送で行われます。住所が古いままだと、カードの有効期限が来て新しいカードが送られる際に受け取れません。使用頻度の低い口座ほど忘れやすいので、この機会にすべての口座を洗い出しておくのがおすすめです。
銀行と一緒に済ませたい金融系の住所変更
せっかく本人確認書類を手元に用意したなら、他の金融サービスもまとめて片づけてしまいましょう。手続きの流れが似ているため、続けて進めると効率的です。
| 種類 | 手続きのポイント |
|---|---|
| クレジットカード | 会員サイトやアプリから変更できることが多いです |
| 証券会社 | マイナンバーの確認を求められる場合があります |
| 生命保険・損害保険 | 契約者情報の変更が必要です。自動車保険は使用地も影響します |
| ローン・分割払い | 返済に関する通知が届かなくなるため優先度は高めです |
| 電子マネー・決済アプリ | 本人確認済みのサービスは登録住所の更新が必要です |
特にクレジットカードは、更新カードが転送不要で送られてくることがほとんどです。有効期限が近いカードほど、早めの手続きが求められます。
引越し全体の手続きの中での位置づけ
役所での手続きは、マイナンバーカードがあればマイナポータルの引越し手続オンラインサービスから転出届を提出でき、転入時の来庁予定の連絡もあわせて行えます。来庁の回数を減らせるので、対応している自治体かどうかを確認しておくと段取りが組みやすくなります。役所と免許証を先に片づけ、その勢いで金融系をまとめて進めるのが、無駄のない段取りです。
Q&Aコーナー:銀行の住所変更でよくある質問
Q1. 住所変更をしないと口座は凍結されますか?
すぐに凍結されるわけではありません。ただし、金融機関から送った郵便が返送され続けるなど、連絡が取れない状態が続いた場合、取引の一部に制限がかかることがあります。放置せず、気づいた時点で手続きしておきましょう。
Q2. 通帳の住所欄は書き換えなくても大丈夫ですか?
銀行のシステム上に登録されている住所が更新されていれば、通帳の記載がそのままでも取引に支障はないのが一般的です。気になる場合は、次に窓口へ行く機会に相談してみてください。
Q3. 引越し前に手続きしてもいいですか?
新住所が記載された本人確認書類が必要になるため、住民票を移して免許証やマイナンバーカードの住所を書き換えてからのほうがスムーズです。引越し前に済ませたい場合は、各行の受付条件を確認しておきましょう。
Q4. 使っていない口座も変更が必要ですか?
必要です。むしろ、使っていない口座ほど連絡が取れなくなりやすく、長期間動きがないと休眠口座として扱われる制度もあります。この機会に、不要な口座は解約してしまうのもひとつの整理の仕方です。
口座を整理すると、旧住所が印字された古い書類や明細も出てきます。個人情報が載った紙はそのまま捨てず、家庭用のシュレッダーで処分しておくと安心です。
Q5. 家族の口座もまとめて変更できますか?
原則として、口座の名義人本人が手続きします。同居家族であっても代理で行う場合は委任状などが必要になることが多いため、それぞれが自分の口座を手続きするのが基本です。
Q6. 手続きにはどのくらい時間がかかりますか?
オンラインでの申請自体は10分程度で終わることが多いです。ただし、審査や登録の反映に数営業日かかる場合があります。郵送で書類を提出する方式だと、1週間から2週間ほど見ておくとよいでしょう。
Q7. 単身赴任で住民票を移さない場合はどうすればいいですか?
実際に郵便物を受け取れる住所を届け出るのが基本です。金融機関によっては、住民票上の住所とは別に送付先住所を登録できる仕組みがあります。窓口やコールセンターに事情を伝えて相談してみてください。
Q8. 海外へ引越す場合はどうなりますか?
国内に住所がなくなると、口座の取り扱いが変わることがあります。金融機関によって対応が異なるため、出国前に取引のある各行へ相談しておくことをおすすめします。
まとめ:銀行の住所変更はスマホで完結できる時代
引越しにともなう銀行の住所変更は、インターネットバンキングや専用アプリを使えばスマートフォンだけで済ませられる銀行が増えています。窓口の営業時間を気にせず手続きできるのは大きなメリットです。
ポイントは手続きの順番です。役所でマイナンバーカードの住所を書き換え、運転免許証の住所変更を済ませてから金融機関に取りかかると、本人確認でつまずかずに進められます。
銀行からの郵便は転送不要で送られることが多く、郵便局の転送サービスではカバーできません。クレジットカードや証券口座もあわせて、新生活が始まって最初の週末あたりにまとめて片づけてしまいましょう。手続き方法は金融機関ごとに違い、内容が更新されることもあるため、実際に進める前に公式サイトで最新の案内を確認してください。



